アフガニスタンの親愛なる言葉のひとつに「ナン食べました?」という挨拶があります。 日本語で言うと「飯(メシ=米)」 食べたぁ?」という感じです。腕に入った炊飯米を主食とする日本と、小麦粉を捏ねて発酵生地を焼いたナンを主食とするアフガニスタンとの、総称としての『食事イメージ』の差はとても興味深いですね。どちらの人々にとっても、かけがえのない『おいしい』ものなのです。
アフガニスタンとパキスタンに跨る地域では丸い鉄鍋をカラヒィと呼びます。この鍋で炒めたり、煮たり、蒸したり、揚げたり自在に調理します。当店では現地の味を再現した大カラヒィに加え、一人前に作ったキャラヴァンサライのオリジナル・カラヒィもいくつか用意しています。ペシャワル旧市街ナマックマンディで教えて貰った『ペハーワルカラヒィ』(2-3人前)のソースは堪りません。
綺麗に捌かれた羊を鉄の串(シフ)を刺して焼く肉の香ばしさは格別です。 部族の頭、牧童の親方は袖の長いチャパーンという外套を羽織ります。その外套を肩で着流して、颯爽と長靴で闊歩するその風貌には心底痺れます。その出で立ちに吹く疾風こそ草原の輝きに相応しい。凛々しい親方はチャパーンを羽織って骨付き肉をご馳走してくれました。アフガニスタンのシュバルガーンのことでした。